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刃角度と用途


刃角度とは?

鋏研ぎの仕上げ方はひとつではありません。シザーズプライムでは研ぎの際の刃付けの角度を変えることで、様々な用途に特化したより使いやすい鋏に仕上げることができます。この効果は絶大で、カットの効率が良くなり、スピードアップ・手の疲れの軽減などに非常に大きな効果があります。

一般的には下記の傾向になります。

  • 刃を【鋭角】(鋭い角度)にすると切れ味が良くなり、毛が逃げなくなる傾向になる。
  • 刃を【鈍角】(鋭くない角度)にすると毛は逃げるが、引っかかりが少なくなる。

※数学では【鈍角】は90°~180°を指しますが、ここでいう【鈍角】は【鋭角】な刃と比較すると鋭くない状態という意味で、【鈍角】ということばを使用しています。

鋏の刃角度について

鈍角な鋏を刃を鋭くする(鋭角にする)というと、刃先が細くなりますか?と聞かれることがありますが、上図のとおり刃角度を鋭くするということは刃の厚み方向に多く削る必要がありますが、幅方向に通常の研ぎ以上に細くなるわけではありませんのでご安心ください。


刃の付け方(研ぎ方)で切れ方が変わる

上で述べたとおり、理容・美容のハサミは、研ぎの際に意図的に刃角度を変えて研ぐことで、様々な用途に合った仕上げが可能になります。言い方を変えると鋏を仕上げる際の刃角度の違いで、同じ鋏でも全く異なる切れ方(使用感)の鋏に変身してしまいます。前と切れ方が違うなと感じたら、刃角度に問題が生じているケースが多々あります。

例えば、美容で多く使われる、ブラントカットやチョップカットストローク・スライドカットは、鋏の刃のつけ方が正反対になりますので、基本的には併用できないと考えて頂いた方が良いと思います。(人により、同じカット技法でもテクニックが異なる場合がございますので、絶対に併用できないわけではありません。)鋏の用途によって刃の仕上げ方を変えたほうが、それぞれに特化した形で鋏を使用できますので結果的に鋏が長持ちするというメリットもございます。

もちろんこれが全てではなく、ご指定いただければ皆様のお好みの刃角度で研ぎ作業を行います。

用途別研ぎ方


刃角度が合っていない

シザーズプライムでは、鋏研ぎをご依頼頂く方から、どのようなカット技法で使用したいかお伺いしております。その会話の中からある矛盾点が明らかになります。それは例えばブラントカットで使いたい、刈り込みで使いたいなど髪の毛が逃げてしまってはいけないカット技法を毛が逃げて当然の鋏で作業しているということです。シザーズプライムに初めて研ぎのご依頼を頂く方の、約3割の方が刃角度に問題を抱えたまま鋏を使い続けているという現実があります。


鋏を作りなおすという発想

いままで研いでもあまり切れが良くなかった鋏は、そのまま普通に研ぐだけでは、多くの改善は期待できません。鋏の切れない原因を根本から修理して、下地をしっかり作ってから研ぎ作業をおこなうと、鋏は見違えるような性能を発揮するのです。そのためには新品を購入することもひとつの手段ではありますが、新品だからといって必ず使い方に合った刃の仕上げになっているかというと、実際はそうでもないのが現状です。シザーズプライムでは鋏の修理、作り直しをおこなっております。お手持ちの鋏を見違えるような性能にしてみませんか?